デザインシステムは、統一性と効率性を高めるための強力なツールです。本記事では、デザインシステムの基本から実際の活用法までを詳しく解説し、地方中小企業でこのシステムを活用していく方法を考えていきます。
デザインシステムとは何か?
デザインシステムの定義
デザインシステムとは、デザインや開発の効率を向上させ、一貫性のある体験を提供する重要なツールです。
デザインチーム、開発チーム、マーケティングチームなど、さまざまなチームが共通の言語とプロセスで連携し、一貫性のあるユーザー体験を提供することを可能にします。
具体的には、UIコンポーネント、カラーパレット、タイポグラフィ、アイコン、デザインガイドラインなどが含まれます。
これらの要素を統一することで、ブランドの視覚的な一貫性を保ち、開発の効率性を向上させることができます。
なぜデザインシステムが必要なのか?
デザインシステムは、デザインの統一性を保つだけでなく、さまざまな利点をもたらします。
例えば、開発チームはデザインの意図を正確に理解し、実装することができます。
また、デザイナーはデザインシステムに沿ってデザインすることで、無駄な作業を減らし、より効率的にデザインを進めることができます。
さらに、デザインシステムはチーム間のコミュニケーションを円滑にし、開発プロセス全体を加速させる効果も期待できます。
中小企業にとっても導入メリットがあります。下記で詳しく見ていきましょう。
デザインシステムがもたらすメリット
デザインの一貫性の確保
デザインシステムは、企業のブランドイメージやデザインの一貫性を保つために役立ちます。統一されたデザインガイドラインを使用することで、全てのマーケティング資料、ウェブサイト、アプリケーションなどで一貫したビジュアルとメッセージを提供できます。
チームの生産性向上
デザインシステムを導入することで、デザイナーや開発者が繰り返し行う作業を削減し、効率性と品質を向上させることができます。既存のコンポーネント(部品)やテンプレートを再利用することで、プロジェクトの立ち上げや更新がスムーズに行えます。
効率化とコスト削減
一貫したデザインと効率的な作業フローにより、時間とコストの削減が可能です。ツールを作成するたびにデザインに迷うことが少なくなり、中小企業にとって限られたリソースを有効に活用することができます。
スケーラビリティ
ビジネスが成長するにつれて、新しいプロジェクトや製品ラインに対してもデザインシステムを拡張して適用することができます。基本の型があるので、追加することが容易になります。これにより、新しい取り組みもスムーズに進行できます。
ブランディング
一貫性とプロフェッショナルなデザインによって、ブランドの信頼性と認知度が向上します。ブランドデザインにばらつきがあると、ユーザーさんが戸惑いブランドイメージが伝わりにくくなります。顧客やクライアントに対して、信頼性のあるブランドイメージを提供することができます。
教育とコミュニケーション
デザインシステムは、新しいチームメンバーへの教育やデザインに関するコミュニケーションを容易にします。全員が同じ基準とガイドラインに従うことで、チーム全体の連携がスムーズになります。
デザインシステムの構成要素
デザインシステムの構成要素には以下のようなものがあります。これらの要素が統合され、デザインと開発の一貫性と効率を高めます。
スタイルガイド
スタイルガイドは、ブランドのビジュアルアイデンティティを定義するドキュメントです。具体的には以下を含みます。
- 色: プライマリーカラー、セカンダリーカラー、アクセントカラーの定義と使用方法
- タイポグラフィ: フォントファミリー、フォントサイズ、行間や字間、スタイルのガイドライン
- アイコン: 使用するアイコンのスタイルと意味
- 画像: 使用する画像のスタイルとガイドライン
UIコンポーネントライブラリ
UIコンポーネントライブラリは、再利用可能なUIコンポーネント(ボタン、入力フィールド、カード、モーダルなど)を含むリポジトリです。これにより、開発者は一貫したデザインのUI要素を簡単に使用できます。
パターンライブラリ
パターンライブラリは、一般的なUIパターンやデザインパターンを含むリポジトリ(データの集合体)です。例えば、ナビゲーションメニュー、フォームのレイアウト、ダッシュボードの構成などです。これらはUIコンポーネントを組み合わせたより大きなデザイン要素です。
ガバナンスとドキュメント
デザインシステムの運用方法や更新手順を定義したドキュメントです。例えば以下のようなものが含まれます。
- 貢献ガイドライン: 新しいコンポーネントやパターンを追加するための手順と基準
- 更新手順: デザインシステムの更新プロセスと役割分担
- トレーニング資料: デザインシステムの使用方法に関する教育資料
アクセシビリティガイドライン
アクセシビリティに関するガイドラインとベストプラクティスを提供し、視覚に弱い方なども含めた全てのユーザーにとって使いやすいデザインを確保します。これには、コントラスト比、フォーカス管理、スクリーンリーダー対応などが含まれます。
トークンシステム
デザイントークンは、デザインのスタイル属性を抽象化したものです。例えば、カラー、スペーシング、タイポグラフィ、ドロップシャドウ、アニメーション時間など、複数のコンポーネントや要素に関連する情報です。これにより、デザインシステムの一貫性を保ちながら、簡単にスタイルを変更することができます。
デザインツール
デザインツール(例:Figma、Sketch、Adobe XD)を使用して、デザイナーがデザインシステムのコンポーネントを簡単に使用できるようにします。これにより、デザインと開発の間の連携が用意になります。
Figmaを活用したデザインシステムの構築
デザインツール『Figma』を使用したデザインツールの例が増えてきました。有名なものではデジタル庁が公開しているデザインシステムです。
府省庁のウェブサイトやウェブサービスへの適用を前提としたものですが、Figmaでのデザインデータも公開されておりその作り方などは参考になります。
他にもFigmaでデザインシステムを公開している企業がありますので検索してみてください。Figmaでデザインシステムを構築するメリットを見ていきましょう。
Figmaとは?
Figmaは、デザインの共有とコラボレーションを容易にするツールです。
Chromeなどのブラウザで使用するツール(SaaS)であるため、場所やデバイスに関係なく、チームメンバーとリアルタイムでデザインを共有することができます。
また、Figmaにはデザインのバージョン管理機能やコメント機能も備わっており、チームメンバー間でのコミュニケーションを円滑に進めることができます。
Figmaによるデザインシステムの作成
Figmaを使うことで、効率的にデザインシステムを構築・管理できます。
Figmaは、デザインシステムに必要な要素をすべて管理するための機能を提供しています。例えば、UIコンポーネント、カラーパレット、タイポグラフィ、アイコンなどをFigmaで管理することで、デザインシステムの構築と更新を効率的に行うことができます。
コメント機能とリアルタイムコラボレーション
Figmaのコメント機能とリアルタイムコラボレーション機能は、デザインシステムの構築と運用において非常に役立ちます。
チームのメンバーは、デザインシステムの要素にコメントを追加することで、開発者や他のデザイナーにフィードバックを提供することができます。
また、リアルタイムコラボレーション機能を使って、チームメンバーと同時にデザインシステムを編集することができます。
これらの機能によって、デザインシステムの構築と更新を迅速に行うことができます。
まとめ:中小企業におけるデザインシステムのメリットと導入
デザインシステムは、企業のデザインや開発プロセスを効率化し、一貫性のあるユーザー体験を提供するための重要なツールです。
特に地方中小企業にとって、デザインシステムの導入はブランドの統一性を保ち、コスト削減やチームの生産性向上といった多くのメリットをもたらします。
Figmaなどのツールを活用し、デザインシステムを効果的に運用していくことで、企業の成長を支える基盤を築きましょう。